Columnコラム
2022.04.05
あなたの会社ではUXへの取り組み、成果として現れていますか?その成果は実感を伴うものになっていますか? もしUXに取り組めていない、UXに取り組んでいるけど成果が出ていない、成果を出しているけど実感がない、それを解決したいとお考えの方、ぜひお読みください。
利用者の体験価値と訳されるUXですが、必要といわれるようになってからUX改善に取り組む会社は増えましたが、現場からはまだ実感がない、取り組み方が正しいかわからないといった声が聞こえてきます。またDXへの取り組みが盛んになってますますUXへの期待が大きくなり、DXを確実に実現するためにはUXは必要不可欠との認識も一般的になっているにも関わらず、実際の開発現場ではUX改善のために実施したバージョンアップでかえって利用者からの大きなクレームを生んでしまって弱ったという話もありました。
なぜ、UXを改善することはこんなにもむずかしいのでしょうか?
その理由として、UXを曖昧にしていることがあげられます。
「UXは個人のもの。客観的に評価はできない!」という主張は正しいです。しかし、そのままでは、開発現場でのUXへの取り組みに大きな認識の壁となってしまいます。まずは開発者でも取り組みやすいUXが必要であり、その取り組みの結果として大きな成果をもたらすように働きかけることが必要なのです。
少し話がさかのぼります。使いやすさを測るユーザビリティ評価の一つであり、専門家が実施するヒューリスティック評価をUXの評価方法として実施したことがありました。現在でもヒューリスティック評価をUXの評価方法として実施している開発現場もあります。ヒューリスティック評価は一般的にヤコブ・ニールセンのユーザビリティ10原則をベースに行いますが、この10原則は30年以上前にまとめられたものであり、現在のシステム開発におけるUXを評価するうえでいささか具体性や網羅性が十分でないことも問題としてあがっています。また抽象的な表現になっているため、評価者による差が大きすぎる点もヒューリスティック評価での問題点として考えられてきました。ヒューリスティック評価の取り組み自体は非常に有用なものであるにも関わらず、UX評価としては検討の余地があるとの意見がありました。
より現代のUX評価に適切な項目をまとめること、個人差を抑えた具体的な項目であること、評価により課題や改善が具体的に提示できることなどが必要でした。
参考として、「ニールセンのユーザビリティ10原則」を掲載します。
ヒューリスティック(経験則)による評価手法「ニールセンのユーザビリティ10原則」
1.Visibility of system status(システムの状態の視認性)
2.Match between system and the real world(現実の環境に合ったシステムの構築)
3.User control and freedom(操作の主導権と自由度をユーザーへ提供)
4.Consistency and standards(一貫性と標準化)
5.Error prevention(エラー発生の防止)
6.Recognition rather than recall(記憶に頼らないデザイン)
7.Flexibility and efficiency of use(柔軟性と効率性)
8.Aesthetic and minimalist design(美しく、最小限なデザイン)
9.Help users recognize, diagnose, and recover from errors(ユーザーによるエラー認識、診断、回復のサポート)
10.Help and documentation(ヘルプとマニュアルの提供)
https://www.nngroup.com/articles/ten-usability-heuristics/
専門家によって評価を行うヒューリスティック評価ですが、同様に専門家により行う評価をエキスパートレビューと呼ぶことが多くなっております。ただしエキスパートレビューでも専門家が各々の経験値のみで評価した場合、ヒューリスティック評価同様に評価者によるムラの発生や網羅性での懸念が残ってしまいます。
そこで、これまでさまざまなソフトウェアの開発現場で数多くの品質保証業務に携わってきたSHIFTが一つの方向性を導き出しました。UXを評価するための基準として、これまで培った実績をもとに観点をまとめ、漏れなく、むらなく、網羅的に評価を行うためのガイドラインである「UX品質ガイドライン」を作成しました。さらに「UX品質ガイドライン」を用いて、UXに知見のあるエキスパートが評価を行うことで、効果的なUXエキスパートレビューを提供できるようになりました。
SHIFTのUXエキスパートレビューはどのような経緯から生まれたのでしょうか。UXエキスパートレビューのメリットを理解いただくために、その経緯を紐解きたいと思います。SHIFTのUXエキスパートレビューは、元々は開発現場でのクライアントの要望により生まれました。ただし最初からエキスパートレビューを望まれたわけではありません。最初の要望は、あくまでもUXを改善するサポート業務でした。サポート業務のなかで生まれた新しい要望、それが「取り組んでいるUX改善の成果の見える化」でした。つまり、現在の取り組みがUX改善の取り組みとして果たして妥当なのか知りたい、上司や経営者に納得のできる説明を行いたい、何よりも問題があるなら早急に見つけて改善したい、そのような要望のなかでSHIFTのUXコンサルタントが生み出した手法でした。そこでは最初からさまざまなガイドラインや規格などを整理することで、最初のUXエキスパートレビューを行いました。
現場の要望から生まれたSHIFTのUXエキスパートレビューですので、最初から目的が明確です。SHIFTのUXエキスパートレビューの目的は次の3つです。
1.定量的にわかるUX充足度(どれくらいUXに配慮されているのかわかる)
2.具体的にわかる問題点(何がUXを阻害しているのかわかる)
3.すぐに動ける改善方法(どうすればUXを改善できるのかわかる)
短期間で評価結果がわかることもうれしいポイントであり、これまで実施した依頼者から喜びの声をいただきました。さまざまな開発現場から依頼を受け、多くのUXの現状評価と改善結果を報告して参りました。
改めてSHIFTのUXエキスパートの手順を紹介します。
1.評価対象を確認します
2.ペルソナとシナリオを用意します
3.UX品質ガイドラインに基づき評価します
4.課題を抽出し、改善点をまとめます
5.問題点を集計し、項目として充足できる率を算出します
6.定量的なUX評価と定性的な問題点・改善点をまとめ報告します
以上です。
そしてここからUX改善に向けた活動がはじまります。もちろんUXが改善するまでSHIFTで継続して支援することも可能です。
「4.SHIFTのエキスパートレビューはじめて物語」で記したように、目的は3つに絞られますが、これまで提供したお客様でもたらされた効果は他にもあります。下記はその一例です。
1.定量評価によるポジション確認(製品はどのくらいの位置なのかがわかる)
2.取り組みの正当化の証明(改善の効果がどれくらいあったのかがわかる)
3.改善計画立案の容易化(何に取り組めばよいかわかり、優先順位も付けやすい)
4.改善前後をKPI設定し経営課題としてUXに配慮(何を次の目標に設定するべきかがわかる)
いずれもお客様のなかから生まれた効果ですが、その効果による開発者の喜びが、そのままSHIFTのUXチームの喜びにもつながりました。
すでに数多くのUXエキスパートレビューを実施しました。さらにSHIFTではカテゴリーごとの傾向なども取り扱っていきたいと考えています。すべては開発現場の開発者とそれを仕切るリーダー・マネージャー・経営者のために、そしてその先でサービスを待っている利用者のためにできることと確信しています。そしてUXエキスパートレビューをきっかけに、みなさんのプロジェクトで本物のUX支援をSHIFTが提供します。
あなたのプロジェクトでもUX改善を目指すなら、UXエキスパートレビューを試してみませんか?お気軽にご連絡ください。きっと納得のいくお答えを用意してお待ちしています。
SHIFTのUXサービス資料や、調査資料をダウンロードできます。
是⾮ご活⽤くださいませ。